徳島県「大塚国際美術館」を鑑賞

大塚国際美術館:坂倉建築研究所のHPより
2024年7月24日~26日、映画監督の松村克弥さんらと同行し、徳島県鳴門市の大塚国際美術館を訪問しました。地域活性化の先進事例を学ぶと共に、創立者・大塚正士氏の設立に至る思いや地域の方々の美術館に託す期待などを共有するための視察です。
24日には後藤田正純徳島県知事、26日に泉理彦鳴門市長を訪問し、意見交換しました。

オロナミンCドリンクやポカリスエットで有名な大塚製薬グループは、大正10年(1921年)に徳島県鳴門市で医薬原料製造の町工場として創業しました。創業者の大塚武三郎氏から昭和22年(1947年)に2代目社長として事業を引き継いだ大塚正士氏は、戦後の混乱期に新規事業を次々と立ち上げ、多くのヒット商品を生み出しました。彼の先見の明と確固たる信念が、今日の大塚グループを形作る原動力となりました。

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大塚グループ創立75周年を記念して、大塚正士氏は徳島県鳴門市に「大塚国際美術館」を設立しました。総事業費は400億円を超えたといわれています。美術館の設立には、地元鳴門に対する深い思いが込められていました。当初、大阪に本社ビルの改築なども検討されましたが、バブル崩壊の影響もあり、鳴門市に美術館を建設することに集中することとなりました。大塚氏は、明石海峡大橋の開通に伴い、鳴門市が観光資源として注目されることを期待していました。
大塚国際美術館の特徴は、陶板による世界名画の複製展示にあります。この技術は、大塚オーミ陶業によって開発され、オリジナル作品の色彩や質感を忠実に再現することができます。陶板は変色せず、長期間にわたってその美しさを保つことができるため、文化財の保存にも寄与します。


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大塚国際美術館には、西洋の名画を中心に1075点が展示されています。これらの作品は、ルネサンスから現代までの幅広い時代にわたるもので、訪れる人々に強い印象を与えます。美術館の展示品は、すべて陶板による複製であり、オリジナル作品と同じ大きさと色彩で再現されています。これにより、観覧者は世界各地の名画を一堂に鑑賞することができます。
大塚オーミ陶業の技術により、陶板は原画の色や質感を忠実に再現します。特に釉薬の調合技術により、細かな色の違いまで表現可能です。この技術は、2000年以上色あせることなく保存できるため、文化財の保存手段としても注目されています。美術館内の展示物は、作品だけでなく額や照明まで現地の美術館と同じように設計されており、鑑賞環境にも細部までこだわりが見られます。

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大塚国際美術館は、明石海峡大橋の開通によって四国と本州を結ぶ交通の要所である鳴門市に位置しており、地域の観光資源として重要な役割を果たしています。美術館の存在により、鳴門市は多くの観光客を引きつけ、地域経済の活性化にも貢献しています。大塚氏の「地域に恩返しをする」という理念が、この美術館の設立に反映されています。
美術館は単なる観光施設としてだけでなく、教育機関としての役割も果たしています。美術館では、様々な教育プログラムやワークショップが開催されており、次世代の子供たちに美術の素晴らしさを伝える活動が行われています。また、世界の名画を通じて文化理解を深める機会を提供し、国際的な視野を育む場として機能しています。

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7月25日徳島県庁に、松村克弥監督らと後藤田正純知事を表敬訪問しました。
一昨年、徳島県庁を訪問した際は、職員の名刺には「徳島は宣言するvs東京」とのロゴが刷り込まれていました。
後藤田知事の名刺には「新時代へ踊り出そう・Sustainable藍Land」と印刷されていました。もちろん、藍地に白抜き文字です。さらには、知事の応接室のテーブルの上には、徳島の名産品が、所狭しと並べられていました。
地元の良さをダイレクトに発信しようという後藤田知事の考えが具現化していました。
大塚国際美術館をインバウンド観光の拠点にしたいとの熱い思いを聞かせていただきました。

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7月26日、松村克弥監督一行と共に徳島県鳴門市を訪ね、泉理彦市長を表敬しました。
徳島県鳴門市は、四国の玄関口としてその美しい自然景観と歴史的な名所で知られています。特に鳴門海峡で発生する世界三大潮流の一つ「鳴門の渦潮」は、多くの観光客を引き寄せる魅力的なスポットです。しかし、近年の観光客数の減少や地域経済の停滞が課題となっており、地域の持続的な発展には新たな観光振興策が必要です。
泉市長との意見交換では、鳴門市の素晴らしい歴史や藍の町として成り立ちなどをご説明いただきました。その上で、四国4県の入口としての鳴門市の役割を強調されていました。