十王ダムと日本最古の地層にふれる旅 -地質遺産を未来へつなぐ新たな看板設置-

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日立市北部に位置する十王ダムと十王パノラマ公園は、雄大な自然と共に、5億年前の日本最古の地層が広がる、まさに“地球の記憶”が息づく場所です。
ジオネット日立では、こうした貴重な地質遺産を広く知っていただくために、日本最古とされるカンブリア紀の地層に関する説明看板を、ダムとパノラマ公園に3箇所新たに設置しました。
この事業は、令和6年度茨城県企業連携型NPO活動支援事業として、茨城県と一般社団法人地方創生戦略研究所(地創研)が、連携し制作費を支援して実現したものです。
十王ダムは、昭和61年に基礎工事が始まり、平成6年に完成しました。多目的ダムとして、水害防止のための治水、日立市の上水道や工業用水の供給、農地へのかんがい用水など、地域のくらしと産業を支える役割を担ってきました。その貯水量は286万立方メートルに達し、県内でも有数の規模を誇ります。ダム湖には「十王湖」の名がつけられ、美しい湖面は訪れる人々を癒してくれます。


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この十王湖周辺に広がるのは、なんと5億年前、カンブリア紀の地層です。ダムの基礎もこのカンブリア紀の地層上に築かれており、全国でも類を見ない地質的特徴を持っています。十王ダムが「日本でただひとつ、カンブリア紀の地層につくられたダム」と称されるのも、この稀有な背景によるものです。
十王パノラマ公園は、平成5年に開園しました。標高を生かした展望塔からは、ダム湖を一望できる絶景が広がります。この公園一帯もまた、石尊山から続く5億年前の変成花崗岩で構成されており、地質学的にも大変貴重な場所です。
公園入口の駐車場には「おむすび」のような形をした岩があり、これは変成を受けた「蛇紋岩」の露頭です。また、遊歩道の先には芝生広場があり、その対岸の岩肌は変成花崗岩。こうした岩石の違いに注目しながら散策すると、まるで地球の歴史をたどる旅のような感覚を味わえます。
今回設置された地層説明看板では、こうした貴重な地質の特徴を、来訪者に分かりやすく紹介しています。看板は、自然に親しみながら、地質や地域の成り立ちを学ぶことができる内容となっており、子どもから大人まで楽しめる「野外の教科書」のような役割を果たします。