「若鷲に憧れて~元予科練生の回顧録~」、阿見町が地域の歴史を紹介する動画を公開


 茨城県阿見町は「海軍の町」としての歴史を歩み、日本が経験してきた戦争と平和を考えるうえで、忘れることのできない多くの事柄をその風土と歴史の中に刻み込んでいます。
 阿見町は、戦史の記憶がいつまでも風化せぬよう、この重要な歴史遺産である「予科練」や「海軍」に関する映像を制作しました。
 単に、風光明媚さを強調する映画ではなく、その街の歴史的意味を止め、全国に発信しようとする試みです。「予科練」ということばを、平和の反面教師として未来に繋いでいくためにも、貴重な作品にできあがっていると思います。
 大空に憧れて予科練に集った若者の思い、世界的な写真家と知られる土門拳の知られざる姿、太平洋戦争末期の「土竜作戦」の実相など、興味深い内容が綴られています。
 動画は、阿見町に住む予科練出身者の経験を基に、相撲や駆け足など訓練の再現シーンや、当時の映像や写真を織り交ぜ、俳優の石井正則さんを中心に展開していきます。
 監督・脚本は、茨城の歴史三部作「サクラ花~最期の特攻~」・「天心」・「ある町の高い煙突」などを手掛けた松村克弥監督です。
 市町村が制作するいわゆるPR動画の次元を遙かに凌駕する傑作です。
 是非ご視聴下さい。



 石井正則さんが案内人となって現在の阿見町を巡る「阿見町の戦跡めぐり」です。
 古関裕而さんが作曲して一世を風靡した「若鷲の歌」のエピソードなどが紹介されています。
 海軍が制作した映画の主題歌の作曲を依頼された古関さん。作曲していた勇ましい長調の曲を携えて常磐線に乗り、利根川を渡って茨城県に入った頃、ふと頭に短調のメロディが浮かびました。土浦海軍航空隊で教官と練習生にどちらも聞かせたところ、教官たちは勇ましい長調の曲を選び、練習生は哀愁を帯びた短調のメロディを選びました。この短調のほうが現在も歌い継がれる「若鷲の歌」になり、当時、レコードの販売数が23万枚という大ヒットになりました。
 後半では、阿見町内に唯一残る有蓋掩体壕(ゆうがい・えんぺいごう)が紹介されています。
 貴重な戦跡遺産を通して、阿見町の魅力を発信した作品です。