石岡市と桜川市をつなぐ「上曽トンネル」が開通
―30年越しの地域の悲願が実現 2025年9月27日、茨城県石岡市と桜川市を結ぶ県内最長の上曽(うわそ)トンネルがついに開通しました。
延長3,538メートル、片側1車線・幅員9メートルのこのトンネルは、県道石岡筑西線の一部として整備され、総延長は取り付け道路を含め5,300メートルに及びます。長年、交通の難所とされてきた上曽峠に代わる新しいルートが誕生しました。
この日、石岡市側ではテープカットと交通安全祈願が行われ、関係者や市民を乗せた車両が通り初めを行いました。午後3時、いよいよ供用開始。桜川市側の真壁福祉センターで開かれた開通式典では、大井川和彦知事が「非常に直線が多くて快適な道路になった。両市と連携しながら地域のさらなる発展を目指したい」と挨拶しました。
かつて唯一のアクセス道路だった上曽峠は、狭い道幅と急カーブが続く難所でした。冬季には路面凍結や積雪で通行止めになることもしばしば。安全で円滑な交通確保は、石岡・桜川両市にとって長年の課題でした。1990年の調査開始から用地買収の遅れで一時中断を経て、2018年に本体工事が再開。総事業費145億円を投じた大型事業が、ついに結実しました。
石岡市八郷地区には果樹園や有機野菜の産地が広がり、観光果樹園や直売所へのアクセス向上が見込まれます。観光面では、いばらきフラワーパークへの誘客増加にも期待が高まっています。
また、このトンネルは災害時の代替路としての役割も重要です。地域の防災力を高め、茨城空港へのアクセス改善にもつながるなど、広範囲にわたる効果が期待されます。
5年後には1日あたり6,100台の交通量が見込まれており、地域の交通動線が大きく変わることになりそうです。
長年「幻」と呼ばれてきた上曽トンネルが現実となり、地域に新しい風が吹き始めています。

