ひたち生き生き100年塾の主催の「地学特別講演会・日本最古の地層と小木津山自然公園・東連津川界隈」が、2023年10月22日、日立市日高交流センターで開催されました。
日立市郷士博物館特別専門員で茨城大学名誉教授・田切美智雄先生が、「日本最古の地層と小木津山自然公園・東連津川界隈」とのテーマで講演しました。
2008年(平成20年)、茨城大学理学部の田切美智雄教授(当時)の研究チームは、日立市の小津山自然公園の入口付近で、日本最古の5億年前のカンブリア紀の地層を発見しました。
この発見で日本列島が出来上がるはるか昔の大陸の変遷や日本列島の成り立ちが分かるのではないかと期待されています。
日本最古の地層発見から今年で15年。田切先生の最新の研究成果も含めての講演でした。
田切先生のレジュメより~~
日立の多賀山地には日本最古のカンブリア紀の地層が広く分布しています。2008年に発見報告されてから、日本中でカンブリア紀地層の探索が行われましたが、未だに他地域では発見されていません。
多賀山地のカンブリア紀の地層からは化石が発見されておらず、ウランー鉛放射年代測定法によって時代が決められました。講演では、小木津地域を中心にカンブリア紀地層を紹介して、その成因や形成された場所を解説し、放射年代法についても解説します。
カンブリア紀地層は火山岩類や花こう岩類でできており、カンブリア紀より古い中国大陸の縁の海中に、火山列島として形成されたものです。そのため、枕状溶岩やその砕屑岩、さらには火山の深部の岩石の花こう岩類が観察できます。
ウランー鉛放射年代測定法は、岩石に含まれるジルコンという鉱物を用いて測定します。
ジルコンにはウランが含まれており、ウランは放射性元素なので一定の速度で崩壊していきます。半分に減るまで45億年かかります。崩壊によってウランがどのくらい減ったか、さらに崩壊によって生じた鉛がいくら増えたかを精密に測定することにより、ジルコンが何年前に形成されたかを知ることができます。